府中の飲食店から集客の相談を受けるとき、ネット予約を増やしたいという話は、たいてい「いま予約の入口がいくつあるか」を数えるところから始まります。

数えてみると、電話1本だけ、という店が今でもあります。
グルメサイトには載っているものの、自分では中身を触っていない、という店もあります。

この記事では、府中で飲食店を営んでいる方に向けて、ネット予約の入口をどう増やし、増やしたあとに何が起きるのかを、順番に整理します。

府中の飲食店で「ネット予約が少ない」と言われるとき、何が起きているのか

府中市には、宿泊業・飲食サービス業の事業所が833あります(令和3年6月1日現在。出典は記事の末尾に置きました)。

この区分には宿泊施設や持ち帰り・配達の店も含まれるので、いわゆる飲食店だけの数ではありません。
それでも、800を超える事業所が市内にあるという規模感は押さえておいていいと思います。

そのうち何軒がネットで予約を受けているかという統計は、筆者の知る限り公表されていません。

ただ、相談を受けるときに毎回やることがあります。
その店を実際にスマートフォンで検索して、予約までたどり着けるかを自分で試すことです。

そこで詰まるのは、たいてい次のどこかでした。

  • 検索結果に店は出てくるが、予約の導線がなく電話番号だけが表示される
  • グルメサイトの予約ページはあるが、席のあき状況が入っていない
  • 店のホームページに予約フォームはあるが、送信しても返信が翌日になる
  • SNSの投稿は毎日更新されているのに、プロフィール欄に予約先が書かれていない

どれも「ネット予約が少ない」という結果として店主の方の目に映りますが、原因は集客の量ではなく、受け口の問題です。

先に受け口を直しておかないと、人を呼ぶ工夫をしても取りこぼします。

お客さんは予約ボタンをどこで探しているのか

府中で店を探す人の多くは、まず検索するか地図を開きます。

「府中市 ○○」と検索したときに何が起きているのかは別の記事にまとめてあるので、ここでは予約の話に絞ります。

検索から地図の枠を経由して店の情報にたどり着いた人は、その画面の中で予約しようとします。
そこに予約の入口がなければ、電話をかけるか、別の店に移るかの二択になります。

Googleビジネスプロフィールでは、飲食店の場合「メニューを確認する」「予約を取る」「料理を注文する」といったリンクを追加できると、Googleの公式ヘルプに説明があります。

つまり、地図の枠から予約までを1画面でつなげられます。
この設定をしていない店は、そこで一度お客さんを手放していることになります。

予約の入口は、大きく分けて4つあります。

予約の入口誰の持ち物か費用のかかり方
電話通話料のみ。ただし営業中は取れない
自分の店の予約フォーム・予約システム使うサービスの月額
グルメサイトの予約サイト運営会社掲載料と、予約人数に応じた手数料
Googleビジネスプロフィールの予約リンク店(リンク先は別)設定自体は無料

見てのとおり、Googleビジネスプロフィールの予約リンクは、それ自体が予約を受ける仕組みではありません。
リンク先として、自分の店の予約システムかグルメサイトのページを指定する形になります。

なので順番としては、まず予約を受ける仕組みを決めて、そのあとに地図の枠から線をつなぐ、ということになります。

グルメサイト経由の予約と自分の店の予約は何が違うのか

グルメサイトの手数料を嫌う店主の方は少なくありません。

たとえば食べログのネット予約は、公式の案内によると、導入費用と固定費が0円で、ランチが1人100円、ディナーが1人200円(いずれも税抜)という料金です。
課金の対象は、予約して実際に来店した人数とされています。

この数字をどう受け取るかは、店の考え方によります。

はじめて来る人を連れてきてもらう対価と考えれば、1人200円は安い部類だと筆者は思います。
一方で、常連の方が毎回そこから予約するようになると、来るはずだったお客さんの分まで手数料を払うことになります。

問題は手数料そのものではなく、比率です。

相談の場では、次のように整理することが多いです。

  • はじめて来る人に見つけてもらう窓口 → グルメサイトや地図
  • 一度来た人が次に予約する窓口 → 自分の店の予約システムや公式LINE

この2つを分けておかないと、店の売上が丸ごと外部のサイトの上に乗ります。

そのサイトの掲載条件や手数料が変わったとき、店の側に選択肢が残らない。
それが、筆者がグルメサイト一本に絞ることを勧めない理由です。

もっとも、自分の店の予約システムを入れると月額の費用がかかります。
どちらが得かは席数と客単価で変わるので、まずは今の予約が何経由で入っているかを1ヶ月数えてみるところからで十分です。

予約が入るようになってから困ることは何か

入口を増やすと、今度は別の問題が出てきます。

いちばん多いのは、予約情報が散らばることです。

電話の予約はノート、グルメサイトの予約はそのサイトの管理画面、自分の店のフォームからの予約はメール。
この状態で忙しい金曜の夜を迎えると、同じ時間帯に席を二重に押さえてしまいます。

筆者が見てきた範囲では、入口を増やした店が最初につまずくのはここでした。

対処としては、予約台帳のサービスを入れて情報を1か所に集めるか、入口の数をあえて絞るかのどちらかになります。
どちらが向いているかは店の規模によるので、席数が20を切るくらいの店なら、無理に増やさない判断もあると思います。

もうひとつ、無断キャンセルの話も出てきます。

ネット予約は電話より心理的な負担が軽いぶん、来店されないことが起きやすくなります。
予約ページにキャンセルの取り扱いを書いておくことと、前日に確認の連絡を入れる仕組みがあるかどうかを、サービスを選ぶときに見ておいてください。

府中で予約が動く日をどう見ておくか

府中には東京競馬場があります。
所在地は府中市日吉町1-1で、JR府中本町駅から専用の歩道橋で西門まで徒歩約5分、京王線の府中競馬正門前駅からは正門まで徒歩約2分という距離です。

競馬の開催日に府中本町駅や東府中駅の周辺で人の流れが変わることは、住んでいれば体で分かります。
ここから先はあくまで筆者の見立てですが、その日に空席を埋められるかどうかは、当日の飛び込み客より、事前に予約を受けられる状態かどうかで差が出ているように見えます。

飛び込みで入れる店を探している人は、そもそも席が空いていそうな店を選びます。
一方で、その日に確実に座りたい人は、前日までに調べて予約します。

後者を受けられる店が、市内にどれくらいあるか。

競馬の開催日に限らず、地域の年間行事と客足の関係は別の記事でまとめる予定です。
ここでは、人が増える日ほど予約の受け口があるかどうかが効いてくる、という点だけ書いておきます。

まず入口の数を数えるところから

ネット予約を増やしたいと思ったとき、新しいサービスを探すより先にやることがあります。

自分の店の名前を検索して、お客さんと同じ手順で予約まで進んでみることです。
そこで自分が詰まった場所が、そのままお客さんが諦めている場所になります。

Googleビジネスプロフィールでどんなリンクを追加できるかは、Googleの公式ヘルプに書かれています。
グルメサイトの手数料や掲載条件も、各社が店舗向けのページで公開しています。

条件は年度によって変わるので、契約する前に必ずそれぞれの一次情報で確認してください。


出典