小規模事業者持続化補助金で、ホームページの制作費は出せます。
ただし、ホームページの費用だけでは申請できず、補助される額にも経費ごとの上限があります。

販促の手伝いで事業者の方の打ち合わせに同席していると、「補助金でホームページが作れると聞いたんですが」という話が出ることがあります。
よく聞いてみると、制度の中身より先に「3分の2が出るらしい」という話だけが届いていることが多いようです。

この記事では、2026年5月に公募要領が公開された小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の第20回公募をもとに、ホームページの費用がどう扱われるのかを整理します。
対象になるかどうかの判断は窓口の仕事なので、ここでは公募要領に書いてあることと、申請の流れまでにとどめます。

ホームページの費用は、どの経費に入るのか

この補助金で対象になる経費は8種類に分かれていて、ホームページにかかる費用は「ウェブサイト関連費」に入ります。
新しく作る費用だけでなく、いまあるサイトの更新や改修も範囲に入っています。

公募要領に挙がっている例のうち、ホームページに関係するものを並べておきます。

対象になる例対象にならない例
商品を売るためのウェブサイトの作成や更新ウェブサイトに関するコンサルティングやアドバイスの費用
効果や作業内容がはっきりしたSEO対策補助事業の期間内に運用まで至らなかったホームページやランディングページ
サイトに載せる宣材写真の制作サイトの写真に使う被写体や商品を買う費用
商品やサービスを売るための画像や動画の作成すでに導入しているソフトウェアの更新料

ホームページで使う写真や動画の制作費も、チラシなどの「広報費」ではなく、こちらに入れる決まりです。

もうひとつ押さえておきたいのが、この補助金の目的が「販路開拓」だという点です。

ホームページを新しくすること自体ではなく、そのホームページで誰に何を売るのかを、経営計画の中で説明することになります。

ホームページの費用は、いくらまで補助されるのか

補助率は経費の3分の2で、補助上限は50万円です。
インボイス特例や賃金引上げ特例の要件を満たすと上限が上乗せされますが、ここでは基本の形で話を進めます。

ホームページで気をつけたいのは、ウェブサイト関連費にだけ別の上限があることです。
第20回の公募要領では、ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限が30万円(税込)と決められています。

制作費ごとに、補助される額を計算してみます。

ホームページの制作費3分の2の額補助される額
30万円20万円20万円
45万円30万円30万円
60万円40万円30万円

制作費が45万円を超えると、そこから先はいくらかけても補助の額は増えません。
なお、消費税の課税事業者は、消費税分を差し引いた額で計算する決まりになっています。

この上限の決め方は、前の回から変わっています。
第19回では「補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)」で、50万円で申請してもホームページに充てられるのは12万5千円まででした。
ネットの解説を読むときは、どの回の公募要領をもとに書かれたものかを確かめてください。

また、ウェブサイト関連費だけでの申請はできません。
たとえば新しいサービスを始めるときに、案内のチラシを作って配る費用(広報費)とあわせて、そのサービスを紹介するページを作る、といった組み立てになります。

それから、50万円(税抜き)以上の費用で作ったホームページは「処分制限財産」にあたります。
補助金を受け取ったあとも、通常は5年間、目的外の使い方や廃棄などが制限されます。

いつ発注すれば、補助の対象になるのか

相談の場で一番食い違いが起きやすいのが、発注のタイミングです。

この補助金では、交付決定通知書に書かれた交付決定日より前に行った発注、契約、支払いは、すべて補助の対象外になります。
採択の通知が届いただけではまだ発注できず、そのあとの交付決定を待つ必要があります。

第20回の日程を並べると、次のようになります。

項目日程
申請の受付2026年11月5日〜12月15日(17時まで)
事業支援計画書(様式4)の発行受付締切2026年12月4日
採択の発表2027年3月ごろ(予定)
交付決定採択の発表から概ね1〜2か月
補助事業の実施期限2028年3月31日

いまから申請の準備を始めても、制作会社に発注できるのは早くて2027年の春以降です。

「年内にサイトを新しくしたいので、補助金を使えないか」という相談を受けることがありますが、この日程とは合いません。
補助金が出る前提で先に作り始めてしまうと、その費用は対象外になります。

期限の側にも決まりがあります。
補助事業の期間内に、作ったホームページを公開して使い始めていないと、その費用は対象になりません。
支払いも期間内に終える必要があり、原則は銀行振込です。

府中で申請するとき、どこに相談すればいいのか

申請には、地域の商工会議所か商工会が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必要です。

府中市の事業者の窓口は、むさし府中商工会議所(府中市緑町3-5-2)の中小企業相談所です。
事業計画づくりについて助言を受けたうえで、様式4を発行してもらう流れになります。

同じ周辺の市でも、窓口は同じではありません。

多摩市は多摩商工会議所が、小金井市・国分寺市・国立市・日野市・稲城市はそれぞれの市の商工会が窓口です。
商工会議所の地区と商工会の地区とでは、事務局の問い合わせ先も様式4の受け方も分かれています。

準備で時間がかかりやすいのは、次のあたりです。

  • 電子申請に使うGビズIDプライム(またはメンバー)のアカウント。取得まで数週間かかると公募要領にも書かれています
  • 電子申請システムに入力する経営計画と補助事業計画
  • 様式4の発行。受付締切は12月4日で、締切が近づくと混み合うので早めに来てほしいと、むさし府中商工会議所も案内しています

制作会社や代行業者だけで商工会議所に相談したり、様式4を頼んだりすることはできず、事業者本人が関わる必要があります。

採択されたあとは、ホームページの見積書を事務局に出します。

相見積もりも含めて提出を求められ、「諸経費」のように中身の分からない経費は対象外です。

「ホームページ制作一式」とだけ書かれた見積書では、この段階で困ることになります。
見積書のどこを見ればいいかは、制作会社の見積書の読み方を書いた記事で整理しています。

申請の前に、Webで何をどこまでやるのかをどう決めておくかは、別の記事で扱う予定です。

府中市の補助金とは、何が違うのか

府中市には、市が独自に出している補助金もあります。
令和8年度は「府中市小規模事業者等チャレンジ支援事業補助金」という名前で、むさし府中商工会議所が受け付けています。
前の年度までは「府中市小規模事業者販路開拓等補助金」という名前でした。

国の補助金と並べると、次のようになります。

小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>(第20回)府中市小規模事業者等チャレンジ支援事業補助金(令和8年度)
対象小規模事業者(全国)府中市で事業を営む小規模事業者
補助率3分の23分の2
補助上限50万円(特例で上乗せあり)30万円
ホームページウェブサイト関連費として対象。上限30万円で、単独では申請できない対象経費の例に「ウェブサイト作成や更新」がある
受付2026年11月5日〜12月15日2026年9月30日が最終締切

市の補助金で目を引くのは、発注先の決まりです。

令和8年度の公募要領では、補助の対象になる経費は府中市内の事業者への発注であることが条件で、市外への発注は市内の事業者で扱えない場合に限られています。
申請の前に商工会議所で相談を受けていることも、条件のひとつです。
また、同じ内容の事業で国の補助金と重ねて受けることはできません。

令和8年度の受付は2026年9月30日で締め切られ、事業の実施期限は10月30日です。
来年度も同じ形で募集があるかは、この記事を書いている時点では分かりません。
ここ3年はいずれも4月に受付が始まっているので、年度の初めに商工会議所のページを見てみてください。

市の補助金を使う場合、制作会社を選ぶときに事務所の所在地も見ることになります。

府中市内に事務所を置く会社の例を挙げると、府中市緑町2丁目に東京・府中オフィスを置くLAUNC株式会社が、Web制作を含む地域向けの集客支援を掲げています。
ただ、発注先が市の条件に当たるかどうかを決めるのは制作会社ではなく商工会議所なので、依頼する前に確かめておいてください。

補助金を使ってホームページを作るときの制作会社の選び方は、別の記事で改めて書きます。

補助金を待つか、先に作るか

補助金を使うかどうかは、ホームページがいつ必要なのかで決まってくると筆者は考えています。

国の補助金は、12月の申請締切から発注できるようになるまで、4〜5か月ほどかかる見込みです。
審査があるので、不採択になることもあります。

ホームページがすぐに必要なら、補助金を待たずに作った方が、結果として早く売上につながることもあります。
反対に、来年に新しいサービスや売り先を広げる計画があり、チラシなどの販促とまとめて動かすのであれば、この補助金の形にうまく合います。

公募要領は公開されたあとも改訂されることがあり、第20回のものは2026年7月21日付の第8版がいま公開されています。
申請を考えている方は、必ずその時点の最新版と、むさし府中商工会議所などの窓口で確認してください。


出典